物流倉庫とは?業務や種類、市場動向から、運営方法のポイントも解説

CREコラム

物流倉庫とは?業務や種類、市場動向から、運営方法のポイントも解説

この記事では、物流倉庫の供給量の推移、業務の流れ、種類に加えて、自社運営とアウトソーシングのポイントについて解説します。物流倉庫の活用によって事業成長、売上拡大を目指している方は、ぜひお役立てください。

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物流倉庫とは

物流倉庫とは、商品の保管や仕分け、配送を担う施設です。仕分けや配送などのフローもシステム化されて管理されるため、効率性を求められる物流業務において重要な拠点です。

拡大を続ける国内賃貸大型物流倉庫市場、3年間でストック量2.4倍

以下のグラフは、シーアールイーの独自調査に基づいた、日本国内(※1)における賃貸大型物流倉庫のストック量(供給量)の推移を示しています。物流倉庫の新規供給は弱まることなく推移し、2024年3Qにはのべ3000万㎡を超えました。また、グラフからも明らかなように2021年以降、Eコマースの急速な拡大や多様化する消費者ニーズを背景に、供給量は約2.4倍に増加しました。
※1:シーアールイーが調査するエリア(首都圏・中部圏・関西圏・九州圏)に限る

日本全国の1万㎡以上の賃貸物流倉庫の新規供給量の推移
出所:株式会社シーアールイー| 倉庫・物流不動産 マーケットレポート調査情報をもとに作成
日本全国の1万㎡以上の賃貸物流倉庫の新規供給量の推移
出所:株式会社シーアールイー| 倉庫・物流不動産 マーケットレポート調査情報をもとに作成

物流倉庫における業務の流れ

ここでは、物流倉庫における業務の流れについて解説します。

入荷・検品・保管

物流倉庫において届いた荷物に関して最初に行うべき業務は、入荷・検品・保管です。入荷は届いた荷物を倉庫で受け取り、倉庫内の保管場所に格納するまでの作業を指します。この入荷を実施する前に検品を行い、商品に問題がないかをチェックすることが基本的な流れです。検品後、入荷した商品を決められた場所に保管しましょう。

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ピッキング

保管した荷物を出荷する際には、ピッキングを行います。ピッキングとは、出荷する商品を出荷指示のリストに沿って、倉庫から探し出して取り出す作業です。人の手によるピッキングはミスが起こりやすいため、自動ピッキングシステムなどが活用されている倉庫もあります。

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梱包・仕分け・発送

次に、梱包と仕分け、発送に移ります。梱包作業では、商品の中身や大きさなどを考慮した段ボールや緩衝材を用意しましょう。取り扱う商品に合わせて適切な緩衝材を使用しつつ、商品が破損しないように梱包してください。梱包後の最終確認が完了したら商品を仕分けます。配送先の企業や地域ごとに分類し運搬車に詰め込み、顧客へ発送します。

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機能別:物流倉庫の種類

物流倉庫(物流センター)は、担う機能や役割によって、いくつかの種類に分けられます。

DC(ディストリビューション・センター)

DC(ディストリビューション・センター)とは、保管業務を含んでいる物流拠点です。DCでは、入荷してきた商品を一度保管した後、出荷指示に応じてピッキング、梱包、配送を行います。また、物流センター内でラベル張りや詰め合わせ、ギフト包装などの流通加工作業も行います。

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TC(トランスファーセンター)

TC(トランスファーセンター)は、主に商品の積み替え作業を行うための物流拠点です。TCは在庫を持たない倉庫であるため、一般的な倉庫の保管機能を持っていません。メーカーなどから商品が届くと、即座に仕分けや積み替えを行い、そのまま小売店や卸業者などに出荷をします。

PDC(プロセスディストリビューションセンター)

PDC(プロセスディストリビューションセンター)は、準工場化された機能を持つ物流拠点であり、詰め合わせなどの簡易的な流通加工のみならず、肉や魚の加工、パック詰めといった生鮮食品加工や機械の組み立てなど、より高度な流通加工を行います。PDCは、加工作業を行うため、生産ラインや人件費といった各種コストがDCなどと比較して多くかかる点が特徴です。

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FC(フルフィルメントセンター)

FC(フルフィルメントセンター)は、顧客からの発注から発送、在庫管理、顧客対応までを包括的に対応する物流拠点です。また、物流機能だけではなく、ITインフラやバックオフィスなどの機能なども整えられています。フルフィルメント by Amazon(FBA)や、楽天スーパーロジスティクス(RSL)、ヤマト運輸フルフィルメントサービスなどが該当します。そのため、小ロット多品種を取り扱うEC事業者にとって、業務の効率化を実現させるために有効な施設となっています。

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立地別:物流倉庫の分類

物流倉庫の立地は、生産拠点または消費地のどちらの近くに配置するかによって分類されます。倉庫の配置は、保管する物や物流ネットワークに合わせて選択する必要があり、事業に影響を与える重要な要素です。

生産立地型

生産立地型の物流倉庫は、主に製造拠点や仕入れ先の近くで商品を保管するために建てられる倉庫です。近くに置かれることで輸送距離が短くなり、輸送コストや時間を削減できます。特に生鮮食品加工や建築部材、アパレルメーカーなどに多い形態であり、仕入れ頻度が高く、配送先よりも仕入れ先のほうが多い業種で採用されています。

在庫を効率的に管理し、タイムリーに出荷できる体制を築きたい場合には、生産立地型を選ぶとよいでしょう。

消費立地型

消費立地型の物流倉庫とは、商品を消費する地域の近くに作られた倉庫のことです。消費立地型は商品を配送先に迅速に届けることが可能であり、仕入れ先よりも配送先の件数が多いケースや、配送スピードが求められる業態に向いています。

また、賞味期限が短い生鮮食品や日用品を取り扱う場合にも、消費立地型の倉庫は適しています。商品の劣化を防ぎつつ、新鮮な状態で配送先に届けられるため、食品業界や小売業界などで採用されています。

物流倉庫を自社で運営する場合とアウトソーシングする場合のポイント

自社運営の利点①:在庫管理や出荷プロセスを直接コントロールできる

物流倉庫の運営方法としては、自社で倉庫を所有・賃借して運営する場合と、企業が物流業務をアウトソーシングする場合の2種類があります。以下では、それぞれの利点と注意点について解説します。

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自社運営の利点②:自社に最適化したオペレーションを構築できる

商品のサイズや形状、温度管理といった特性や、独自の梱包方法、流通加工などの付加価値作業など、作業内容や手順、設備をカスタマイズできることで、最適な物流オペレーションを構築しやすいという特徴があります。

自社運営の利点③:物流倉庫の運営に関するノウハウを蓄積できる

日常の物流業務を通じて在庫管理や作業効率化、コスト分析、リスク管理などが培われ、そのノウハウは業務品質の向上に活用できます。また、将来的な物流戦略立案などにおいても、こうした実践的な知識や経験に基づく判断ができることは企業の大きな強みです。

自社運営の注意点①:物流倉庫の立ち上げまでに時間を要する

最適な立地の選定から始まり、賃貸借契約、倉庫設備(マテハン機器、保管ラック、WMSなど)の設置、人材確保・教育、システム導入・テストなど、稼働開始までに長い期間を要します。市場に沿った迅速な対応が難しい場合があります。

自社運営の注意点②:初期投資費用と人的コストがかかる

自社で物流倉庫を立ち上げるには、倉庫の建設または賃借、倉庫設備(マテハン機器、保管ラック、WMSなど)の導入に多額の初期投資が必要です。加えて、自社内に運営の為の組織を編成すると共に、多くの人員を雇用し、教育するための人的コストも発生し、大きな負担となります。

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アウトソーシングの利点①:リソース不足を解消できる

物流アウトソーシングを活用するメリットは、リソース不足を解消できる点です。これまで物流業務に割いていた自社の限られたリソースをさらに重要性の高い業務にあてられるでしょう。
物流倉庫が担う業務をすべて自社で対応するには、多くのリソースを割かなければなりません。人手不足などの影響もあり、物流に関わる従業員の確保は今後さらに厳しくなることが予想されます。

アウトソーシングの利点②:物流のプロによる丁寧な対応

物流業務のノウハウを持たない企業でも、専門性の高いサービスを受けることができます。荷物の取扱い、適切な保管方法を熟知していること、また繁忙期やセール等による物量の波動が生じても、経験豊富なプロフェッショナルにより丁寧かつ迅速に対応します。これによって、安定した物流品質をユーザーに提供することが可能となるでしょう。

アウトソーシングの利点③:コストを削減できる

アウトソーシングの活用によって、倉庫の維持費や人件費といった各種コストを削減することができます。また、季節商材や流行商材など、売上が時期によって大きく変わる商品を扱うEC事業などにとっては、物流量に応じてコストを変動できるため、コストの最適化も見込めます。

アウトソーシングの注意点①:ノウハウが蓄積されにくくなる

アウトソーシングをすると自社にはノウハウが蓄積されにくくなります。特に、将来的に配送業務を社内で行う可能性がある場合は、ノウハウを得られないことがデメリットになる恐れがあります。
そのため、将来を見据えるなら、委託先の企業を交えてミーティングを実施するなど、現場の作業実態を可視化する取り組みが重要です。

アウトソーシングの注意点②:細やかな対応や柔軟な対応ができない場合がある

自社物流からアウトソーシングに切り替えた際に、サービス内容の変更やコスト増大が起こる可能性があります。例えば、自社で行っていた細やかな対応を維持しつつ、物流会社の定める出荷時間を厳守しようとすると、対応内容を変更せざるを得ない場合があります。
アウトソーシングする際は、サービスの向上、コスト、配送スピードのどれを優先するか明確にすることが重要です。

まとめ

物流倉庫の供給量の推移、業務の流れ、種類に加えて、自社運営とアウトソーシングのポイントについて紹介しました。自社や市場の状況、将来的な物流戦略を考慮した上でベストな物流倉庫を選択することが重要です。事業の立ち上げ期や成熟期に伴い自社物流に切り替える際など物流拠点や貸し倉庫をお探しの際は「CRE倉庫検索」をご活用ください。

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